何でも喰ってやろう

とある調査に訪れた農家で、「これを食べたことがあるか?」となにやら根っこのようなものを出されました。
パッと見は生乾きのショウガか、朝鮮人参の切れっ端のようなものか、



ほいっ。



湯がいて干したようなもの。「胃腸の薬で、旨い物ではない」と仰います。

ナイフも一緒に出されたので自分で皮を剥いて食いました。
ややガリガリするけど微妙にホクっとするようでもあり、微かに粘り気があるようでもあり、不思議な食感。スジっぽくも無く、若干苦味はあるものの、まあ喰えます。ただ言われる通り、旨い物ではないですね。

名前は「トコロ」と呼んでいるらしいけど、一般的にはどうなのかは知らん。て。
これを取ることに関してはそれなりに名人芸らしく、胸を張っています。




んで、後で調べてみましたら、



ヤマノイモ科 オニドコロ 毒草




きゃー!



でも3日経った今でも何事も無いので、大丈夫だったんでしょう。

何かの間違いかと思って更に調べても間違いは無いようです。
ただ、古来から飢饉の時なんかには救荒食として食す習慣がある地域もあることは確かなようです。

東北地方では、春になると無闇矢鱈に山野草を喰います。その他にも菊やなんかの花とか、別に美味くもないのに有難がって喰ってます。
どうやらこういうのって、そういう食習慣の名残みたいです。
今となっては都会人からは「野趣溢れる」とばかりに珍重されているっぽいですが、由来を知ると先人の苦労が想像されて涙が出ます。多くの先人が間違えたり毒抜きに失敗して命を落としたり、それ以上に餓死して来たのでしょう。



ITOH Osamu/ Sachi/ Guest Book/ 036@itoh.gentei.org