24 Heures du Mans(2日目)

寒い

そんなわけで車で寝ていたのですが、基本的に快適でした。
オーリスのリヤシートを倒してラゲッジからフラットにし、前席はヘッドレスト を外して目一杯リクライニングさせれば車全体が結構広いフラット空間になりま す。
で、ロトンデはキャンプ場ではないので酒飲んで騒いでる人も居ませんし比較的 静かでしたが、さらに耳栓、アイマスクもして毛布にくるまってマイ枕で寝れば もう快適そのもの。爆睡です。

しかし、予想外だったのは気温。
真夏ではないのでそれなりの涼しさは想定していましたが、この車想像以上に外 気が入るっぽい。そして実際寒いです。

カッパとセーターは持って来ていたので、しっかり着込んで寝直しましたが、もっ と防寒対策しておいた方が良かったようです。
カッパは本来暖かいのですが、わしのは高級なゴアなので逆に湿気も熱も発散し てしまって保温してくれません。シート側から奪われる熱もバカにならないので、 可能なら本当のキャンプ用のマットとか断熱シート的なものもあっても良いです よ。
わしはキャンプ用品日本から持って来てないので、普通に家にあった毛布と枕し か用意できなかったんですが。


サーキットへ

なんだかんだで8:30まで熟睡し、すっきりと起きました。
昨日ルマンに来るまで、公式プログラムとか手に入らなかったので正確なタイム テーブルとかエントリーリストとか知らなかったのです。
スタート時間さえ知らなかったんですから!(過去には15:00スタートと16:00ス タートのパターンがあります)

今年のスタートは15:00ですが、9:00にはwarming upが始まります。
とりあえずさっさとコース見に行きましょう。



ゲートは既に大混雑



コース上から爆音が聞こえてきます。スタンドの前の無料部分でちょっと様子を 見ます。ホームストレートを各車がかっ飛んで行きます。何かの早送りみたいな 速さ。混走しているGTEクラスがノロい。やっぱりレースはプロトタイプの耐久 が好きだなあ。

エンジン音に特徴のあるやつが通ると、エントリーリストから何者であるかを確 認。併せて、各クラスのレギュレーションを確認。LMP1とLMP2って何が違うの? 排気量はLMP2の方がでかくて良いのにLMP1の方が速いクラスになっているのは、、 タイヤがLMP1の方が2インチも幅広いの使えるんですな。
後は重量も幅も長さも高さも一緒。

年々技術の進歩によって車が速くなるので、速くなれば危険も増すということで レギュレーションでスピードが出ないように制限を設けていくわけですが、タイ ヤ幅っていうのは確かに合理的なルールですね。
ルマンの特徴の長いストレートでは、最高速はタイヤ幅には依存せずに出るので、 これは馬力を抑えるしくみでコントロールするのでしょう、今は事実上排気量の 制限が馬力のリミットになっていますが、わしこのレギュレーション嫌いです。 耐久レースは各メーカーの戦いなので、メーカー独自の技術が生かされるような レギュレーションであるべきです。3.5L-NAに統一して当時のF-1と規格を一緒に し、ワークスよりもプライベーターのエントリーの敷居を低くした92年施策は興 行的にはアリなのかもしれませんが、それでロータリーが出られなくなるとか、 オカシイでしょやっぱり。
今は何ですか?ディーゼルターボが一際でかい3700ccまでokとかいう事実上AUDI 優遇ルール。(ディーゼルに間口を開いたけどAUDIしか使いこなせなかっただけ)

エンジンの種類は「何でもアリ」じゃないと。馬力規制は昔のように「燃料総量」 で縛るべきですよ。

なんて20年前から同じことを考えながら、今年の車の情報を頭に叩き込んでいき ます。
音を聞いて思う。



前座

Warm upも終わりそうなので、土手伝いにコースも見ながら歩き、途中の出店で朝食(パスタ)を仕入れてダン ロップブリッジの先まで移動しました。
夕べ、街から帰って来る時に目を付けておいた土手がそこそこ見るのに良さそう です。早速大きな切り株を一つ確保して見物開始。



まだ観客もまばら。



10:00からは往年のルマン出場車両(同型?)のレースでしょうか。
クラシックカーに近い様相の1960〜70年代くらいの車でしょうかね。爆音立てて、 本気で走っています。プロトタイプの後に見るとノロいですが、普通の車がコー ス走ってるのを考えると十分速い。てか、本気です奴ら。誰がハンドル握ってる か知りませんがアホです。多分、往年のモノホンレーサーでしょう。


あまり長閑じゃない



それも終わると、11:00からフェラーリのワンメイクレース。これがホントの前 座レースですな。DUNLOPの下のS字で、丁度ハードブレーキングをするところで す。真昼間なのにFローターが真っ赤に焼けるのが見えます。
うおお、夜見てぇ。





その後は更にエコカーのデモランとか、何たらクラブのデモランとか、ACOのレー シングスクールのデモランとか、ダラダラ続きます。どーでもいいです。
そして12:00。わし的本日のハイライト。再びMAZDA787Bの登場です。
あの音を聞くにはストレートで見たいけど、仕方ない。スピードの落ちるコーナー で我慢です。



当時の優勝ドライバー、J.ハーバートが ハンドルを握りました



彼は1991年最終ドライバーで、ゴール後脱水症状でそのまま病院送りとなってし まったので表彰台に立っていないのです。どうやらホームではそのシーンの再現 と、改めて表彰台へご案内という感動の演出があったらしいです。


サルテサーキットで見たもの




アストンマーチンのゴルフカート

YAMAHAですが。



ギャグなのかと思ってたら、どうも違うんですね。
この手のゴルフカートが沢山場内を走っているのですが、どうやら各チーム(会 社)のVIP送迎用のようです。
各チーム(会社)が、VILLAGE近辺に建屋を構えているのですが、一般向けのショー ルームかと思ったらどうも違うっぽい。接待用の飲食物が準備されているのが見 え、入口にはガードマン。
なるほど、そういうことなんですね。
実際、レース観戦を苦労せずに快適に楽しもうとしたら、一般人がどうやったっ て無理なんです。サーキットは広過ぎるし、外は暑いの寒いの土埃が舞うの、い ろいろ居心地に問題アリで、大枚叩いてグランドスタンドの券を買うなんて言う のは所詮庶民の悪あがきなんですよ。

VIPはこういうところ(裏口出ればコースも良く見える高台)で、快適にモニタ で情報も見ながら、たまには生でも見ながら、シャンパン飲んだりしながら見る んです。
寝るところもありそうですし。

こういうあからさまな格差を見るのがヨーロッパ的ですなあ。



地元メーカーのトラクターの展示

F40と

McLaren F1

F40はいわずと知れたピニンファリーナデザイン

こっちはMaserati GranTurismo

ここにもピニンファリーナのロゴが。



クルマ好きの金持ちはみんな集結してるんでしょう。古今東西のレアものも矢鱈 に見ることができます。


いよいよスタート

スタートシーンはやっぱりホームストレートで見たいんですよね。
可能なら最終コーナーも見れる場所で、ペースカーが引っ込んで全車フルスロッ トルというのが一番見応えあるんですけど、残念ながらそういう場所には行けま せんでした。
ストレートエンド辺りの反対側に陣取ります。


フォーメーションラップが始まり、ペースカーに引き連れられた隊列がスラロー ムしながら通過。
そして、


恒例のトリコロールスモーク



そして15:00。歓声が沸きあがり、一斉に全速で目の前を通過していきました。
2〜3週見れば、ここで見るのももう用無し。
また放浪の旅に出ます。


MAZDAブース

さすがにもういいや感もありますが。
グッズくらい売ってたら買おうかと思いましたが展示のみ。



1970年に初めてMAZDAエンジンを積んで 走ったシェブロンB16

さっきコースを走った787Bも戻って展示 されてます。
手前には予備のR26Bエンジンも。



R26BとRB26て似てるなあ。
打ち間違えて初めて気づきました。


なかなか良い観戦スポットが無い

芝生の土手みたいなところで、そこそこコースも見れて空いているところがあっ たらゴロゴロしたいなと思って放浪しますが、なかなかそんなとこありません。

ポルシェカーブからフォードシケインへの間の外側にちょっと良さそうなところ が見えましたが、内側から外側に行く術がありません。ポルシェカーブまで行っ てしまえば下をくぐる道(レース中も使える一般道)がありますが、そこまで行っ たらその後戻ってくるのが大変です。
方針を変更し、一度は見ておきたいユノディエールに向かいます。
図を見る限り、ユノディエール沿道には観戦できる場所はありません。
まあそれでも行ってみましょう。

トラム乗り場からちょっと歩くと、ユノディエールに隣接する公園がありました。
サーキット的には場外ですが、ちゃんと柵があってコースまでは数十mは離 れています。ガードレールもあるので低い車はよくは見えません。でも走ってる 影は十分わかります。
ここでいいやと、芝生にシートを敷いて転がり、音を聞きながら1時間くらい寝 てたでしょうか。実際眠りましたはい。

その後「ここで寝てちゃダメ」ってオフィシャルに追い出されました。場外なの に。


また場内へ戻り、テルトルルージュ辺りを目指そうとしましたが途中で力尽き、 S字を望む高台(内側)に座り込みました。なかなかよく見える場所ですが、赤 土で汚れるのと、吹き晒しで結構寒いくせに日差しが強くて顔が痛い。
でもここでは3時間くらい座ってたんじゃないかな結局。
絡んでる車が次の週でどういう位置関係になってるかとか、気になる車のタイム を測ったり、改めて資料を読んだり。
そうこうしている内に、21:00を過ぎて日も傾き、これでようやくレースも1/4が 過ぎたのです。まだまだ多くの車が元気に走っていますが、目の前で白煙を吹い てスローダウンするやつとかもいて、それなりに動きはあるようです。


夜間セッション

24時間といえば、夜も走る。
これが最大の特徴でしょう。
夜走ってるのもぜひ見たいと思いました。
本当は、街灯も無いユノディエールをライトの明かりだけで突っ走る姿を見たかっ たのですが、昼間でも見れないので夜は絶対無理です。
22:30頃になり日が暮れて人もだいぶ減ってきました。今ならスタンドへも入れ そうです。



PITも見れて、いい感じ。

間近で見れますがとても追い切れません。



スタンドからはモニタも見れるので、レースの全貌がもう少しよくわかります。
字幕類までは見えないので正確な順位やタイムなんかはわからないのですが。
そうこうしている内に、ペースカーが入りました。
何かどよめいています。ユノディエールらしいところで、ガードレー ルに刺さっているマシンが空撮で映されますが、どの車まではわかりません。し かしこんな直線でなぜ?
そして次にモニタに映されるのは凍りついているAUDIのピット。どうやら優勝候 補のAUDIがやっちまったらしい。


ペースカー先頭の隊列。



やがて、事故車両のオンボードカメラ映像と、ユノディエール定点カメラの映像 が流れました。AUDI1号車がパッシングしながら周回遅れのGTE車両をオーバーテ イクしようとしたところ、GTE車両がなぜか少しまた寄ってきたようにも見えま す。そして 接触。時速300kmでスピンしながらガードレールへ。
定点カメラの映像はもっと激しく、接触したAUDIが火を噴きながら回っているシー ンが見れました。

AUDIワークスの1〜3号車の内、3号はすでにリタイヤ。1号が今やらかしてしまっ て、2号は?生きてるの?ピットも半開きで営業してるのかどうかも良くわかり ません(1,3号のピットはシャッターも閉めて閉店)



AUDIピット



ペースカーの隊列を確認しても2号車の姿がありません。2号車も重大トラブルで ピット作業中なのでしょうか?
通常のピットインならガレージの中まで車両を入れることは無いのですが。


でもやがて、隊列に2号車の姿が確認できました。
これで早々に今年はPEUGEOTの優勝が確定しちゃうのかな?まだ3台とも元気だし。


さらばサルテサーキット



回収に手古摺っているのか、長いイエローとなりました。24:00近いのでわしは 車に戻ることにします。
明日はもう、サーキットには来ないつもり。
明日のパリ発の飛行機は20:35なので、当初は「ゴールまでは見れないな」くら いの感覚でいたのですが、昨日のパリ周辺の状況と、今朝のサーキット周辺の渋 滞を見て気が変わりました。


明日はさっさとパリに戻って、どうしても時間が余るようならチェッ クインして荷物をドロップした後にパリ見物でもすることにしよう



車に戻って、ラジオを点け(FM91.2MHzが英語の実況になってます)何となくそ の後の顛末を聞きながらおやすみなさい。
遠くのエキゾーストノートで、イエローが解除されたのがわかります。
甲高い音で22番アストンがまだ走ってることも。

でもすぐに寝てしまいました。今日は一体何km歩いたんだろう。



ITOH Osamu/ Sachi/ Guest Book/ 036@itoh.gentei.org