昨夜夜更かしして読み終えてしまった。
浅田次郎/蒼穹の昴シリーズの2作目、単行本1冊である。
シリーズの本流の中に組み込みにくいキーエピソードをいわばミステリー仕立て
でスピンアウトしたというべきか。それもちょっと違うな。
立憲君主制4か国4人の貴族が、(自国も含めた)君主制国家の危機について調査
するという形で芋づる式に証人から話を聞くという構成。
前後エピソードと、証人の語り口での記述で話は進んでいく。それぞれのキャラ
が立つ。
トム・バートンから始まり、蘭琴、袁世凱、瑾妃、劉蓮焦、愛新覚羅溥儁(プー
シー:大阿哥)
どれも誰かに犯人を押し付けている様で胡散臭い。世間、他者の評と本人の真の
姿にギャップがあったり(無かったり)、どんどん真実は混乱していく。
しかし、すべてはミセス・チャンの仕込んだ謀略だったというオチ。
最後に光緒帝載[シ小舌]の証言で4人の貴族が「おめーらがやったんじゃねーか」
と暴露し、4人は懺悔、みたいな感じだが、
そしてミセス・チャンは前作で西太后慈禧の孫だとは判っていたが、同治帝載淳
の娘寿安だと確定する。
矛盾もあり、結局よくわからない。珍妃の辞世の言葉は溥儁の証言の他にエピロー
グでも再掲されており、自殺であることを仄めかしている。
4人の貴族がその場に居たかどうかも怪しい。
珍妃は西太后はともかく瑾妃、隆裕皇后の嫉妬も受けずに本当に皆に愛されてい
たのか。単なる載テンの思い込みのような気もするが。
が、天子たるものかくあるべしという話は説得力がある。
そして、列強が中国にした悪事の数々。
つくづく阿片戦争は世界史上極悪の業だ。
浅田次郎はこのシリーズでは列強、カトリック、白人国家のアジア差別を厳しく
ディスっている。西洋は貧しいから心まで貧しく、耶蘇の言葉を借りて平和な暮
らしを保とうとした、隣人を愛し、敵をも愛せよと諭した。珍妃の辞世の言葉の
一節として書かれているが、浅田次郎の本心だろう。
そういえばかつて読んだ平易な宗教解説本の著者も浅田次郎だったかな。
あれだけ没落しても皇族には西洋事情にも明るい人材は揃っていた。周辺にもそ
れなりに居た。だのになぜ帝政中国は滅んでしまったのか。
儒教も含め崇高な倫理観もありながら、やはり市井と特権階級で意識は明らかに
違って、腐った連中も多かった。そして豊かなはずの国でも庶民は貧しかった。
世襲的身分制度の悪い側面。特権階級の特権が極端すぎたこと。
中華の驕り、井の中の蛙。
旧態とした科挙制度・宦官の制度を改善できなかったこと。それによって視野の
広い有識者が分断されてしまったこと。
現代中国を見ると、でも何も変わっていない気がする。
皇帝は「国家主席」と名を変え世襲ではなくなり、政治組織が「共産党」という
形になっただけの帝政のままである。
その中華意識、節操の無い商魂、何も変わっていない。
リベラルは究極の理想かもしれないが、現実的とは思えない。完全民主主義は愚
民には荷が重い。
中国のシステムは、存外もっとも優れているのかもしれない。
いずれにせよいかに本物の君子を選別できるかなのだ。
寒いが良い天気の日。
カジュアルと作業着の2杯洗濯し、外干し。もうすぐ花粉で外には干せなくなる。
豊岡LAWSONで20Appsと、iOS12.4.5が出ていたのでupdate。
店頭でタバコ3本も吸ってしまうと、コスパ悪いな。
珍妃の井戸を返して、中原の虹を2冊借りた。
背景や人物に慣れて読むのが早くなってきたので、2週間以内に2冊目に突入する
可能性が高い。延長するにも泉ヶ丘センターでできるし。予約すれば何でもあり
だけど。
中原の虹は全4巻。大作だ。
小腹も減ったし、ふと思い出して御代志のすき家のドライブスルーで「とろ〜り
コクぷりん」を1個買って来た。120円。
カードも使えるし色んなキャッシュレスに対応していたがなぜかpaypay非対応。
結局現金で買ったのでなんだかなあ。
そもそもかなり痛い画ではある。
ジェノベーゼと洋風ちゃんちゃん焼き?
と思っていたのだが、猛烈に腹減って肉が喰いたい気分。安くもなって
いないワンポンドステーキを買って来た。焼いて喰った。塩コショウのみ。
つけあわせは人参と舞茸のソテー、ブロッコリー(冷凍)、しいたけ焼き。
肉は怒涛の450g!
あとビールのみ。14:30からのディナー!
その後ポテチ摘んでダラダラ。
19:00になったので、結局スパゲッティジェノベーゼペスカトーレを喰った。
控えめにほぼ1人前。
今日から早く寝ないとな。
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