GTS1000A購入あれこれ
GTSを初めて見たのは1995年の秋,甲州街道上り車線でした.
そのバイクには
YAMAHA
と書いて有り,見た目はリッタークラスのツアラー,色は赤でした.しばらく併走したり後ろについて走りましたが,「YAMAHAって,こんなバイク出してたっけ?」と疑問が拭えません.細かく観察する余裕などありもせず,オメガフレームやフロント片持ちハブステアなど気付く由もありませんでした.
しばらく後,それがGTSという輸出仕様車で,極めて特殊な車両であることがわかりました.いつかは大型ツアラーと夢見ていた私は,その時「GTSに乗りたい」と決心したのでした.しかし,現行モデルでありながら雑誌を探しても全く売りに出ていません.中古すら無いのです.
1996年も暮れに近づき,
大型二輪免許を取得
することができました.バイトもろくにしておらず,奨学金も取っていない貧乏学生だった私にはすぐに大型バイクを買う余裕などありません.「来年就職したらすぐローン組んで買うんだ」と思い,車両を探し続けました. ある日,銀座の街角に停めてあったGTSを見付け,初めて間近で良く見ることができました.でもその時の印象は,「なんかシールドが変だよ,かっちょわりーな」でした.
1997年3月,雑誌でGTSの新車が売りに出ているのを発見.店に見に行きました.そこにあったのは1995年式の青,現在日本にある最後の新車だそうです.「うお,やっぱりかっちょえー!」 気になるお値段は120万円でした.(お,思ったよりやすいぜ)
その時の情報では,シールドは2種類あり,大型の丸く立ったタイプ,低く,四角いタイプがあるのです.丸い方はBMWツアラーのように抜群の風防性を発揮してくれそうですが,私は低く構えたスーパースポーツっぽい方が好みでした.
当時の色は赤と青,ABS無しで黒があるようでしたが,なにしろそこにある青が最後の一台,「特殊な車両ですから,今後いつ入るかわからない」と言われて,焦っても金がないことには成す術なしです.父親に保証人になって貰ってローンという方法はあったのですが,それだけはやりたくなかったのです.
4月,無事社会人となり,最初の週末,その店には「○○様,4/13納車」という札の貼られたGTSが置いてありました.
5月,仙台で研修中に意を決して店に電話し,「GTSを探してくれ」と伝えました.間もなく「ヨーロッパで1台見つかりました」という連絡.
それは現地で店頭に出ている車両で,これを再びバラして航空便で戻すと2ヶ月はかかり,多少傷も付くとのこと.その他に左側通行用にライトレンズをASS'Y交換したりすると軽く180万円になるといいます.さすがに先行き不透明な状態でそれを買う勇気はありませんでした.
幸い,9月に来年モデルの生産があり,現地に航ってから商社が売れ残りを安く買いたたいてきますので12月には新しいのが
入るかもしれない
.とのこと.「かもしれない」というのは,ほとんど受注生産のため注文数によっては絶版になる可能性もあり,現地で売れ残りが出なければ当然戻ることも無いというのです.
ビンボな私は12月に賭けることにしました.
6月,配属先である福島県に落ちついた私に店から連絡.「9月生産分について,正規に予約をしておけば入る可能性は9割ぐらいにはなる」というのです.「どうして100%でないかというと,受注が少なければ絶版になることもあるから」だという.また,正規の購入だと買いたたき品ではないので若干割高になるというのです.
弱い私は「12月まで待ちます・・・」
その後,円相場は順調に下がり,春にはせいぜい110円台前半だったのが,120円台後半になりました.(今なんか軽〜く140円以上だもんな〜とか思うと損した気もしませんが)
個人的には「今までが高過ぎ」と認識しているので,円安自体は何とも思わないのですが,やはりあからさまに購入価格に響くので複雑な気分です.
いよいよ12月,そろそろ店から連絡が入るかなと思っていたところ,その店が雑誌にGTSの新車を広告に出しているではありませんか!
いろいろ調べてみると,頼んでいた青は存在せず,98モデルから赤黒ツートン一色になってしまったようなのです.ABS無しモデルはなくなり,ライトがハイビーム2灯になりました.お値段も149万円也です.ちなみに今年上陸したモデルはGB仕様で,ライトレンズ変更が要らないのです.+諸費用+消費税で買うことができます.
いろいろ考えるところもあったのですが,商談を進め,1997年12月27日ついに納車されました.
ITOH Osamu/
Sachi/
Guest Book/
036@itoh.gentei.org