パワーアップその3



・フルパワー+α

 ろくえふの走行距離が5万kmを超えたので、エンジンのリフレッシュをすることにした。いつものビーライドに行って内容について相談する。

 とりあえずヘッドを開けてバルブ回りと燃焼室の清掃と調整を含めた組み直しは確定。どうせならピストンリングも点検したかったが、ろくえふのエンジンはシリンダ・クランクケース一体型なので、

ヘッドの次はいきなり全バラ

になってしまうのであった。ちょっとそこまでする気にはならなかったので、今回はヘッドまででできるところまでにした。

 そして、ヘッドを開けるのだから、以前から考えていたようにカムを換えてフルパワーにすることにした。というより半分このタイミングを待っていた面もある。

 さらにいつもの「どうせなら病」が発症して、カムは純正の国外仕様を飛び越して ヨシムラのST-1カムシャフト Photo を選択。加えてエキゾーストもテクニカルスポーツのフルエキゾーストにして、

フルパワー+α仕様

を狙ってみることにした。同時に消耗品や、やれてきてるパーツも交換することにしたので、最終的なメニューは以下のようになった。

 新車でろくえふを購入して以来の大盤振る舞いとなってしまったのだった。期末手当も出たことだし、と勢いで決めてしまったが、計算してみると

SL230とかなら一台買えるじゃん

ということに気がついてかなりびびった。期末手当ではエキゾースト代にも足りなかったりするし。はうぅ。

・ヘッドオーバ−ホール

 ろくえふをビーライドに預けて作業開始。1〜2週間という話だったが、発注した消耗品が入荷しなかったりで結局3週間かかった。その間は使い捨てカメラで記録してもらったり週末に見に行ったりしてたので以下その記録。

・組み立て・完成・慣らし

 ヘッドまわりの清掃と研磨が済んだら、元通り組み立てる。バルブはすりあわせとタペット調整をやり直し、カムとエキゾーストは交換。オイルと冷却水も入れ直して 完成。 Photo

 外観上の変化は エキパイとサイレンサぐらい。 Photo あと今回ついでに 油温計もつけた Photo けどこれはまた別レポートで。

 とりあえず取り回しをしてみてまずわかったのは、

軽い。

チタン・カーボンのフルエキの効果を実感。数字で見るとたぶん5kg程度の差なのかもしれないが、それ以上の差を感じた。重心から遠い部分(特にサイレンサ)が軽くなったからかな。走ってみても、倒しこみや切り返しが軽くていい感じ。さすがにF4程ではないけど。

 JMCAを採ってないサイレンサなのでどれくらいうるさくなるか気になっていたが、確かに音は大きくなったが爆音と言うほどでもなかった。車検(99db)もこのままで通るらしい。

 アイドリングや加速時は音が大きくなったのがわかるが、定速走行でアクセル開度が小さいときにはそれほどでもない。すぐに慣れた。ただ長距離を続けて走ったときにどう感じるかはまだわからない。

 今回カムを換えたので軽く慣らしをする。説明書によると100kmまでは4000rpm以下、以後100km毎に1000rpm増やして300kmまでは書いてある。まあ1000kmぐらいかな。指定タペットクリアランスがノーマルより大きいので調整直後でもタペット音がするのがちょっと気になる。

 走りはじめてまずわかったのは、

低回転域が頼りなくなった。

といってもエンストしやすいというのではなく、回転が安定しない。今までは最徐行で負荷を与えていってもひたすら粘っていたのが、スナッチ気味になりやすくなった。ちょっと渋滞はつらいかも。しかしその一方で、

4000rpmで急に元気になる。

アクセル開度一定でも、急にトルクが出てきて回転が上がっていく。なので慣らしの一番最初は結構難しかった。あとでそこを使えるようになると、低中速からの加速に便利。ただ発進加速でそこにかかると意図以上に飛び出し気味になるのが困り。

 そんな感じで慣らしを進めていくと、どうも低中回転でトルクが波打っているような感じがしてきた。4000rpmでトルクが盛り上がったあとも加速が一定じゃないのだ。慣れないうちは意図した加速にならず難しく感じることもあった。うまく決まるとおもしろいように加速するけど。

 さらに慣らしを進めて高回転も使うようになると、

高回転域はまるまるパワーアップ

しているのがわかった。存分に試せる場所がなかなかないのが残念だー。

・キャブセッティング・パワーチェック

 慣らしを終えた後、とりあえず実際どうなってるのか知りたかったのと、トルクの波打ちがセッティングで直せるかどうか試してみたかったので、BLRに持っていってパワーチェックとキャブレタのセッティングを頼んだ。そしてこれが パワーチェックの結果。 Photo 結局トルクの波打ちはセッティングがあっていなかったのではなく、フルエキかカムか、あるいは組み合わせによる特性だろうということだった。それでも最初の4000rpmの立ち上がりを鈍らせてくれたので、少し扱いやすくなったのは助かった。

 結論としては、高回転のパワーは得られたが、反面低中回転で扱いにくい特性がでてしまった。もっとも高回転型にしたのだから当たり前といえばそうなのかもしれないが。ただかけたお金に相当する効果があったかというと、ちょっと疑問。そういう意味ではその2仕様ぐらいが一番バランスが良かったかな。

 低中回転でも山の部分を使えばパワーアップは体感できるので、乗り方次第と言うことになりそうだ。よく言えばおもしろいが、悪く言えばさぼれないバイクになったということか。まずは人間の慣らしをもっとやらなくては。

・その他

 テクニカルスポーツのフルエキは、ノーマルの代わりにつけるセンタースタンドのストッパが付属していて、センタースタンドを外さなくても良いようになっている。これもこのフルエキを選んだ理由の一つだったのだが、まだ慣らし中の時期に そのセンスタストッパが壊れてしまった。 Photo 本来は こういう感じ Photo のものなのだが、位置決めのプレートとストッパとなる棒の接続が点溶接一ヶ所で、それが外れてしまったのだった。

 その結果ストッパの役をなさなくなり、センタースタンドが上がりすぎてチェーンラインに近くなり、リアサスがストロークしたときなどにチェーンと干渉するようになってしまった。かなり危険なので修理を依頼したのだが、なんと

テクニカルスポーツでは保証してくれない

のだった。そういえば保証書なんてなかったし。結局ビーライドでクレーム扱いで 直してもらった Photo それにしてもお粗末な製品だ。対応するならちゃんと作れといいたい。対応も気に入らないし、たぶんテクニカルスポーツの製品はもう買わないぞ。


ろくえふカスタム